十一代 高取静山 高取水指 the 11th takatori, seizan takatori water jar

高取静山 1907(明治40) - 1983(昭和58)

高取焼宗家11代の女流陶芸家高取静山は、10月5日大分県日田市にて死去した。享年75。

明治40(1907)年11月28日、福岡県朝倉郡に生まれる。本名静。日本大学国文科を卒業。小野賢一郎に師事し、秀吉の朝鮮出兵の際黒田長政が連れ帰った陶工・八山を始祖とし明治維新によってとだえていた幸田藩御用窯高取焼を再興すべく、父富基と共に昭和13年個展を開くが、その会期中に父の急逝にあい一時休窯する。同32年再び窯を開き河村蜻山に師事。翌年遠州流宗家12代小堀宗慶に師事、高取焼11代を襲う。始祖の故国である韓国との交流にも力を注ぎ、同48年ソウルで個展を開催、同53年には韓国の少年を陶工修業のために招いた。薄作りで沈んだ渋みのある地に釉薬をかけ、釉なだれの面白さと色合いの妙を出す高取焼の伝統をいかし、茶入、水指、茶盌など多くの茶器を制作した。

日本陶磁協会員。著書に『炎は海を越えて』(平凡社)がある。